ドラムの右手と左手、或いは右足と左足

カノウプスのドラムセット写真

先日、ドラムレッスンで手の左右差についての話になりました。誰しも一度は悩みますよね、左右差。どんな人でも、利き手と比べたら逆の手は不器用なものです。その不器用さを克服しようと、悪戦苦闘するのではないでしょうか。

不器用なところが可愛い

そういう方もいるかもしれません。気持ちは分からないでもないですが、演奏するとなると可愛がってばかりもいられません。たまには厳しくしてみませんか。


出来る側が合わせれば良い

そういう方もいらっしゃるでしょう。確かに差をなくす事を考えたら、これも良い方法です。むしろ合理的といって良いかもしれません。ただ、今回書く事がなくなるので、そんなこと言わないで頂きたい。

言う事を聞かなくて嫌気がさす

待ってました。違った。よく分かります。しかし、あなたの手は何も悪くありません。一緒に何が出来るか考えてみましょう。

右利きの場合

ここからは、僕がこれまで行ってきた悪戦苦闘を紹介します。僕は右利きなので、右利き前提の文章になりますがご了承ください。

まずは右手と左手を入れ替えて叩いてみます。

八分音符の手順を入れ替えた譜面

譜面は8分音符ですが、音符は何でも構いません。3連符でも、16分音符でも、32分音符でも、5連符でも、付点4分音符でも、2拍3連でも、何でも構いません。何でも構わないのですが、やっぱりシンプルな音符の方がいいと思います。とにかく、RLRLをLRLRにして叩きます。

または、何かのフレーズでも良いです。

16分音符のフレーズの手順を入れ替えた譜面

やってみると分かりますが、どんなに簡単なフレーズも、手順が逆になるだけで面白いくらい難しくなります。ここで大事なのは「面白い」の方です。「難しい」で受け止めると嫌気がさします。難しいなぁと思ったら「面白いなぁ」と口にしましょう。自分を騙すのもテクニックです。どうですか?だんだん面白くなってきましたか?うちの教団に入会しませんか?

ダブルストップ

いわゆる両手打ちです。同時に叩く事で、音色・音量・タイミングの違いがチェックできます。これもやってみると分かりますが、自分の運動感覚みたいなものはあまり当てになりません。思っているよりも、スティックの角度・軌道・振り幅・スピードが左右で違う事に気づくと思います。右手の感覚を左手が真似しようと思っても、そもそもの感覚にズレがある場合がほとんどです。なので、この辺りは鏡やスマホを使って、視覚的に近づけていった方が効果的だと思います。見てると、動きだけでなく肩の位置や頭の角度など、姿勢のズレも分かると思います。もっと見てたら、顔の骨格のズレまで見えてきました。意外と自分が見えてないものです。
ただ、スティックに触れている指の面積や位置など、触覚を真似するのは大丈夫な気がします。何ででしょう。気のせいかもしれません。

オープンハンド

ドラムセットを使ったやり方で言えば、左手でハイハット・右手でスネアを叩くオープンハンドというスタイルがあります。手が交差しないのでオープンハンド。例えば、そのスタイルで8ビートを叩いてみると、こうなります。

8ビートの手順入れ替えた譜面

左手がたくさん叩く事になって良い練習になります。何よりバスドラムも絡んでくるので、より難しくなります。違った。面白くなってきます。
また、オープンハンドという名前通り、演奏フォームも開放的になるので、出てくる音も開けた感じがします。音響を分析したわけではありませんので、これも気のせいという可能性はありますが、気持ちは大事です。実際に、このスタイルで演奏するドラマーもいます。

サウスポースタイル

そこからさらに進んで、楽器の位置を逆にセッティングする、いわゆるサウスポーセッティングもあります。つまり、左足でバスドラム・右足でハイハットを踏むという事です。なんとまあ、思うように叩けない事。前に、「手足がバラバラ?」という記事を書きましたが、本当にバラバラに動くのであれば難なく叩けるはずです。それがなんとまあ、思うように叩けない事。初心者の頃の気持ちを思い出します。そこで再確認しましたが、出来ない時はテンポを落とすのが一番ですね。
サウスポーでオープンハンドという組み合わせも試してみましたが、これは意外と叩けます。やはり、左右が完全に逆になる方が大変なようです。

日常生活

ここまできたら、日常生活でも左手を使う事を考え始めます。ドラムを叩く時間よりも、それ以外の時間の方が圧倒的に多いわけです。僕は左手で箸を持ってご飯を食べ、左手でペンを持って文字を書き、左手でスマホを持ってフリック入力し始めました。
詳細は省きますが、それぞれそれなりに上手く出来るようになりました。そしてこれらの経験から得たことは、左手で箸やペンやスマホを扱う練習をすれば、箸やペンやスマホの扱いが上手くなるという事です。ドラムの扱いについては、ドラムを練習した方が良いと思います。

十人十色

左右を入れ替えた状態で安定して叩けたとしても、音色やリズムに普段との違いがあるなら、それは左右差です。ただ、すべてを均一にする事が良いとは限りません。イラストでも、絵を反転させてバランスをチェックする方法があるそうですが、完全なシンメトリーが美しいのかどうかについては、一概に言えません。結局何を良しとするかは本人次第です。

不器用なところが可愛い

確かに不器用さも個性です。右も左も同じになって何が面白いのか。左手が思わぬ動きを見せるから面白いんじゃないか。そう思います。

出来る側が合わせれば良い

左右差をなくす事が目的なら、よりコントロール力のある右手が合わせる方が合理的です。わざわざ左手をトレーニングしなくても良いと思います。

言う事を聞かなくて嫌気がさす

とりあえず「面白いなぁ」と口にしましょう。言ってるうちに面白くなります。どうですか?だんだん面白くなってきましたか?うちの教団に入会しませんか?

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