ドラムの右手と左手、或いは右足と左足
先日、ドラムレッスンで手の左右差についての話になりました。誰しも一度は悩みますよ…
タイトルがちょっと怖いですが、内容はいたって平和です。
たまにライブを観たお客さんから「手と足がバラバラに動いてスゴいですね」と言われることがあります。ありがとうございます。ただ、本当はバラバラに動いているわけではないんですよ、という事を書こうと思います。平和でしょ。
ドラムには4way independenceと言われる技術があります。四肢独立。つまり両手両足を独立して動かす技術です。つまりどういう事?と思いますよね。僕も、つまりどういう事?と思いまして、ネットで調べてみました。何か説明するのにちょうどいい感じのページないかなぁ、と探していたのですが、気付いたらyoutubeを視ていました。怖いですね。自分で考える事にしました。
例えばサンバキックと言われる足で刻むパターンがあります。
ドン ツトドン ツトドン ツトドン ツト…
譜面が読めない方にも分かりやすく、と思って文字で表現してみましたが伝わるでしょうか。伝わった事を信じて進みますが、このリズムを足で演奏しながら手は別のリズムを叩いたりフレーズを叩いたりします。名前の通り、ブラジル音楽のサンバを演奏する時に使われるドラムパターンです。
また、左足クラーベと言われるパターンもあります。
カッ カッ カッ カッ カッ ….
多分、文字では伝わらなかったであろう事を承知で進みますが、左足でこのリズムをキープしながら、他は別のリズムやフレーズを自由に演奏します。キューバのラテンのリズムを演奏する時に使われたりします。
ジャズドラムもそうですね。文字で書くのはやめておきますが、レガートと言われるリズムを右手と左足で刻みながら、左手と右足でフレーズを演奏したりします。
つまりは、2つ以上のリズムを同時に演奏してるとまるで手足がバラバラに動いているみたいだ→4way independenceという事です。バラバラに動かすって信じられないと思うかもしれません。ただ、これは本当にバラバラの意識で動かしているわけではなくて、繋がりがあるというか組み合わせがあります。僕の場合はあります。
4way independenceの他に、4way coordinationという言い方もありまして。感覚的にはこちらの方が近いのかなぁと。例えば、右手と左手で違う図形を描くといった脳トレがありますよね。右手が直線(↓) (↑)、左手が三角形(↙︎) (→) (↖︎)を同時に書くみたいな。これも別々の動きではありますが、一つ一つの動きを見れば
(↓ ↙︎) (↑ →) (↓ ↖︎) (↑ ↙︎) (↓ →) (↑ ↖︎)
という6つの動きに分けられます。そしてそれを繰り返せばなんかバラバラに動いているように見えるわけです。まあ、難しい事に変わりはありませんけど。
これは三角形と四角形になっても原理は同じです。五角形と六角形でもそうです。三角形と七角形、五角形と十二角形。どんどん複雑になったとしても、バラバラに見えて実は繋がっています。
何でこんなに「バラバラじゃないんですよ」という事に拘るかと言えば、バラバラに動かそうと練習すると「揃える」意識が薄くなるなと思ったからです。太字にしておきました。
ドラムを始めたての時は、手や足は面白いくらいつられて動きます。なので、つられないようにつられないように、と練習します。そうやって練習を重ねるうちに、もっと手足がつられないようにしよう、もっと別々に動かせるようにしたい、手足がバラバラに動かせるようになりたい→4way independenceという流れになるのかなと、自分の経験上思います。
そしてこれも自分の経験上ですが、4way independenceの練習というと、体の一部を自動演奏みたいな状態にしようとしてしまって、合わせるという事に無頓着になるんですよね。サンバキックでもクラーベでも、音が重なる部分はいっぱいあるんですが、そこが雑になってしてしまう。結果、ドラム全体で聞いた時にちょっとチグハグというかバタつく感じになるんじゃないかと。そしてそれはシンプルな8ビートをやる時にも影響がありまして。
ついに譜面を使ってしまいました。一応、文字でも書きますと
ド チ タ ド ド チ タ チ ド チ タ ド ド チ タ チ……
聞いての通り(?)シンプルですね。4wayの練習をする頃にはこのようなビートは難なく叩けることでしょう。難なく叩けてしまうからこそ、もっと音が重なる所を意識した方がいい。簡単に言えばタテを揃えましょうという事です。よく言われてるような基本的な話になりました。あれ、おかしいな。
ズレるから良いんだという説もあります。コンピュータのように揃っても面白くない。まあ、個人的には人間がコンピュータレベルで揃える事が出来たら、それは凄い個性だと思いますが。
ただ、ズラすにしても、揃える事が出来て初めてズラす事が出来るんじゃないかと思うわけです。お笑いの人の、常識があって初めて非常識を作る事ができるみたいな。ズラすにしても、そのズレに秩序がないと美しくないんじゃないか….そんな事もないのかなぁ…..何の話だっけ。
あぁ、とにかくタテのラインを揃えましょうという話でした。やっぱり基本は大事ですね。