インドっぽいリズム
引き続きリズムについてあれこれ書きます。毎回、こんな事を書きたいなというものはあ…
前回に引き続き、インドっぽいリズムについて書きます。今回は西洋音楽的な見方との違いについてです。ちなみにこのブログは、「ドラム始めてみようかなぁ」という方に向けて、「レッスン受けてみませんか?」という誘い水を書くのが目的だったのですが、だいぶ主旨から離れてまいりました。今から軌道修正も難しいので、せめてフレンドリーさを心掛けて書きたいと思います。
前回、フレーズの解説でこんな譜面を出しました。
「知らん。」という方は是非、前回の記事を読んでほしいのですが、強要はできないので改めて説明します。’Ta Dhom’という曲に出てくる、コナッコルのフレーズの一部です。「曲も知らん。」という方は是非、前回の記事を読んでほしいのですが、強要はできないので改めてアップします。こちらです。
この曲の冒頭フレーズの一部を譜面にしたのが、上記のものということです。そして今回はこの音符の書き方についての話になります。
最初の2拍部分を説明した際に、「タドン(3)」と「タカタキタ(5)」という3と5のフレーズから出来ていると書きました。しかし、上の譜面では音符の下から横に伸びている線が、一拍ごとの区切りで分かれています。つまり、「タドンタ」 と「 カタキタ」で分かれています。本来のフレーズの意図で考えれば、次のように書いた方がよりニュアンスは伝わります。
→→変換→→
もう一つも同じように書き直すとこうなります。
→→変換→→
こう書くことで、よりインド音楽的なリズムの見方に近づいてきます。
「インド音楽について詳しいんですか?」
そう思う人もいるかもしれません。実は、インドはおろか海外に行ったこともありません。
「そんなんで大丈夫ですか?」
そう訝しむ人もいるかもしれません。安心してください。この書き方は僕が考えたわけではなく、僕が途中で挫折した英語の本に書いてありました。翻訳を間違えてなければ、書いてあるはずです。そしてこの書き方を見た時に、一拍単位で区切ってリズムを読むのは、西洋音楽の見方なんだなと思ったわけです。
もう一曲、違う曲を聴いてみます。「Gully Boy」という映画の挿入歌で‘India 91’という曲です。
この曲は’Ta Dhom’と同じく、Viveick Rajagopalanが作曲しているようです。このコナッコルのフレーズを、まず西洋式に譜面にするとこうなります。
勘の良い方なら、この書き方でも構造が分かるかもしれません。でもやっぱり見えにくいと思いますので、インド式に書き換えました。こんな感じ。
思わずインド式とか書いてしまいましたが、インドではこういう記法で書かれているとかいうわけではありません。僕の読んだ本の著者が、西洋の五線譜でリズムフレーズのニュアンスを正しく伝える為に、色んな人と試行錯誤して考え出した書き方という事です。でも思わず言いたくなります、インド式。
それはさておき、これを見れば、長さが段々と増減する作りになっていることが分かるかと思います。これは、リズムの考え方・捉え方が、水平方向だからこそなせる技なんじゃないかと思うわけです。譜面で言えば、一拍という縦のブロックの分割ではなく、横に水平にリズムを重ねていく見方だからこそ、出てくるフレーズなんじゃないかと。
「インド音楽は足し算の音楽だ」という言説を見かける事があります。そのたびに、よく分からないまま「そうだそうだ」と言っていましたが、今はもう少し確信を持って「そうだそうだ」と言ってます。ちなみにサックスの菊地成孔さんは「インド音楽は積分の音楽だ」と仰っていました。もう少し数学の勉強もしたいと思います。
ここまできて、僕が半分まで読んだという本について書いていない事に気づきました。ご紹介が遅れました。Rafael Reinaさんによる著書、「Applying Karnatic Rhythmical Techniques to Western Music」です。
Karnatic(Carnatic)とは南インドの事です。南インド音楽で使われるリズム理論やテクニックの解説本です。コナッコルについても色々書かれています。英語が得意な方は是非読んで頂いて、僕に後半部分を教授してください。
まだこのテーマで書きたいところなのですが、最早ブログの主旨を忘れかけているので、続きはまたの機会にしようと思います。お疲れ様でした。