みんなでチェンジアップ

音楽ホールにセッティングされているドラムセット

ドラムの基礎練習でチェンジアップという方法があります。4分音符 → 8分音符 → 16分音符のように、音符を変化させていく練習です。僕が高校の吹奏楽部に入って、最初に教えてもらった練習だった気がします。それから25年。いまだにやります。そのくらい長きにわたって行われる練習、それがチェンジアップ。初心者も、上級者も、プロも、老いも若きも、みんなでチェンジアップしましょう。というお話です。

チェンジアップとは

という事で、チェンジアップがどういう練習なのか、譜面にしてみました。

4分音符・8分音符・16分音符と変化していく譜面

上から順に、4分音符 → 8分音符 → 16分音符と変化しています。冒頭で書いたそのままですね。Rは右手、Lは左手で叩く事を意味しています。譜面が読めないという方でも、音の数が増えていってる事は分かるかと思います。簡単に言えば、下の段にいくにつれて、叩く速さが二倍になっているという事です。複雑に言えば、1小節という決まった長さを、最初の段は4分割、次の段は8分割、その次の段は16分割して叩くという事です。

意外と簡単そうに見えますよね。少なくとも、25年もやらなくて良さそうですよね。ところがそうでもないのです、これが。一定のリズムで乱れることなく続けるのが本当に難しい。

ただ確かに、25年もやらなくていいんじゃないか、という気はしてきました。毎日やってるわけではないですけど。いや、毎日やってないから25年も続いてるのか?あれ、ただの練習不足なのか…?

…深く考えるのはやめておきましょう。

気を取り直して続けますが、この練習のポイントは、いかにスムーズに次の音符へ繋げるかにあります。特に、最初の頃は当てずっぽうで次の音符に移行しがちなので、4分→8分や8分→ 16分など音符が切り替わる前後で、速くなったり遅くなったりします。これはもう、自分で観察して修正していくしかないのですが、コツがあります。それは次の音符を感じておく事です。

サブディビジョン

どういうことかというと、4分音符を叩いている間に8分音符を心の中で刻んでおく、8分音符を叩いている間に16分音符を心の中で刻んでおく、という事です。拍をサブディビジョンすると言ったりもします。
拍を細かく感じるほど、一拍のテンポ感は安定します。例えば上の譜面で言うと、最初から16分音符を感じておけば、その心の16分音符に合わせて4分 → 8分 → 16分と叩けるので、音符の移行もスムーズになります。何だ、心の16分音符って。
実際の演奏では曲の雰囲気もあるので、サブディビジョンが細かければ細かいほど良い、というわけでもありませんが、細かい方がビートが安定するのは間違いないです。

3連符

チェンジアップの難易度を一つ上げます。3連符の導入です。3連符とは何かというと、4分音符を3つに分けたリズムです。譜面にしてみます。

4分音符・8分音符・3連符・16分音符と変化していく譜面

上から順に、4分音符 → 8分音符 → 3連符 → 16分音符と変化しています。「何で12分音符じゃないんだ」と思う向きもあるかもしれませんが、本題ではないので割愛します。本当は調べてみたのですが、書き記すには長くなりそうだったのと、やっぱり本題ではないので割愛しました。気になる方は調べて見てください。

さて、3連符が入ると何で難易度が上がるのかと言うと、まず3連符自体の難しさがあります。1・2・3・4というカウントに対して、8分音符や16分音符は毎回右手が拍の頭にくるのですが、3連符の場合、拍ごとに右・左・右・左と入れ替わります。この感じが慣れないうちは難しい。

もう一つは拍のサブディビジョンが合わないという点です。
4分音符や8分音符は16分音符と重なっているので、最初の譜面では、16分音符さえ感じていれば全部に対応できました。ところが、3連符というリズムは、拍の頭以外は8分音符とも16分音符とも重なりません。違う系統のリズムです。これを同時に感じるのが難しい。

なので、これも最初は当てずっぽうで練習するしかないと思います。8分→3連や3連→16分の、スピードが変化する度合いを覚えていくイメージです。これも慣れてくれば、8分を叩きながら3連を感じたり、3連を叩きながら16分を感じたり出来るようになっていきます。

精度

さらに色んな連符を挟み込めばどんどん難しくなりますが、とりあえず4分・8分・3連・16分の4種類で、練習としては十分だと思います。
8分音符だけを取り出しても、1小節全ての拍において、音色や音量のバラツキなく、均等にリズムを刻めているか、それが4小節キープ出来ているか、本当に心から納得できるレベルまでそれが出来ているか、くらいまで集中して練習できれば、だんだん精度が上がっていきます。その集中力でチェンジアップの練習が出来れば、多分、20年はいけるんじゃないかと。
マークジュリアナ(Mark Guiliana)という凄まじいドラマーがいるのですが、以前ドラムマガジンのインタビューでこう言っていました。

ー8分音符、3連符、16分音符をそれぞれ無理なく叩けるようになっても、これらを切り替えてみると、切り替えたところでどうしてもタイムが少し揺れてしまう。だから、切り替えてもタイムが揺れないようになるまで練習するんだ。サブディビジョンを意識しながらも、全体の大きなウネりをわすれないようにしてね。

やっぱりこれほどの人が言うと説得力が違います。このブログもマークジュリアナが書いた事にならないものか。

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